ブランド・エクイティとは何か
2021/06/19(土)
さまざまな学者によって研究がなされ、またその有用性が指摘されるようになった「ブランディング」は、今や企業にとって避けて通ることができない注目ポイントとなっています。
ブランディングによって自社商品やサービスが多くの人に受け入れられるようになっていることは、企業に勤めている人間ならば(あるいは企業を運営している人間ならば)だれもが知っていることでしょう。
そしてブランディングを行うことによって得られるメリットも、多くの人が知っているはずです。
ただここでは、その「ブランディングによって得られるメリット」をもう少し細分化し、明確にしていこうと思います。
ブランディングがもたらす効果やメリットを系統立てて学ぶことは、より効率のよいブランディング戦略を組み立てることに役立つからです。
本記事では、「ブランディングのもたらす数多くのメリット」について取り上げていきます。
なお、取り上げるのは以下の10個です。
- 価格競争の回避
- 高単価商品が売れる
- 競合の新規参入を阻止
- リピート購入増加による新規開拓のコスト減(1:5の法則と5:25の法則)
- 指名買いによる販促コスト減
- 優秀な人材確保
- 従業員のモチベーション・モラールの向上
- 優良な取引先を確保
- 新市場の開拓がしやすい(ブランド拡張)
- 顧客ロイヤリティ向上
目次
ブランディングを行い、そしてそれが成功した場合、顧客はその商品や企業に対して特別な愛着と信頼性を持つことになります。
現在は材料費の高騰や消費税の増税を受けて(2019年10月1日~)、企業側としても値上げに踏み切らなければならない状況に陥ることが増えてきました。
顧客側の多くは、「値上げ」「商品の値段」に対してシビアな目を持っています。
そのため、A社が値上げに踏み切ったとなればA社やA社の商品を見限り、同種のカテゴリーのものをもっと安く売っているB社に乗り換える……ということも当然ありえます。
このため、「同業他社が値上げをしていないから、うちも苦しいけれど値上げができない」「同業他社が値段を安く抑えているから、うちも価格競争を行わなければならない」という考えが当然出てきます。
しかしブランディングが成功している場合、このような「価格競争」から自社の商品やサービスを守ることがきます。
顧客はたしかに商品の値段に対して非常に敏感に反応しますが、特定の企業や特定の商品、あるいは特定のサービスに、「価格」を超える価値を見出している場合、たとえ少し値上げされようとも、ずっとその企業の商品を使い続ける可能性が非常に高くなります。
価格競争に割って入ることなく、自社商品の値段を保ち続けたり、材料費の高騰による値上げをしたりしても顧客離れが起きにくいということは、ブランディングを行う大きなメリットだといえるでしょう。
ブランディングが成功し、特定の企業やその企業が打ち出す商品に特別な意味を顧客側が見いだせるようになれば、高単価の商品であっても売れるようになります。
「多少高いけれど、ここの商品ならば試してみたい」、「普段なら払わない金額だけど、この企業が○○にこだわって作った商品なら払う」などと考える人が多くなるからです。
「信頼」「ブランド力」が大きな推進力となり、高単価商品に手を伸ばさせる理由となるのです。
もっとも、ブランディングにはたしかに「高単価商品に手を伸ばさせやすくする」「高単価商品であってもチャレンジしてもらいやすくなる」というメリットは持つものの、内容がそれに伴っていなければたしかな効果は得られません。
むしろ、「この企業のものだからと信頼して買ったのに、高い割にはおいしくなかった(役に立たなかった)」「この企業の商品だからと安心して買ったのに、期待外れだった」となれば、実際に手に取られた商品が悪く思われるだけでなく、企業自体にも失望されかねません。
そのため、高価格帯のものを手に取らせ、またその状況を維持するためには、ブランディング力だけでなく、商品自体の力も相応であることが求められます。
ブランディング戦略の1つに、「同種のカテゴリーのほかの商品、あるいは同業他社、競合他社のサービスとの差別化」があります。
この「差別化」は、「競合他社であるB社やC社やD社の商品(サービス)ではなく、わが社(A社)の商品を確実に選んでもらえるようにすること」に非常に役立つものです。
さてこの「差別化」ですが、これは、すでに存在している同業他社(や、それらの企業が打ち出すサービスや商品)との競り合いに勝ち、顧客を獲得し、またリピーターになってもらうということにだけ役立つものではありません。ブランディングによって、「わが社の商品は、ほかのものよりも価値があるものだ」と広く知られていれば、新規参入してこようとする新しい企業の動きを抑制することができます。
後進の企業は、多くの場合、先進の企業よりもより優れたサービス、より安い価格、より高い品質を持って入って来ることとなります。
このため、場合によっては先進の企業の優位性が脅かされてしまいかねません。
しかししっかりとしたブランディングが行われており、「ほかのどの企業の商品でもなく、A社(自社)の商品に魅力を感じているのだ」という顧客を捕まえておけば、新規企業はなかなか入って来ることができなくなります。
新規企業は、ひな形などがない状態から新しいものを作り出すために費用をかけなければなりませんが、それと同時に、「先進の企業が作り上げた差別化」「先進の企業が作り上げたブランド」に勝つためのブランディング戦略に予算を割かなければならなくなるからです。
その結果として、商品やサービスの質を落とすことになってしまう可能性もあるでしょうし、場合によっては新規に入って来ること自体をあきらめざるを得なくなることもあります。
ブランディングを行うことの意味は、よく「既存の同業他社との戦いに勝つため」「自社のシェアを伸ばすため」と言われます。
もちろんこれも決して間違いではありません。
しかし同時に、「脅威となりうるであろう新規企業の参入を防ぐことができる」というメリットを持っているということも忘れてはなりません。
ブランディング論では、しばしば数字が使われます。今回もその数字を取り上げていきます。これは、ブランディングの焦点「リピーター」「リピート率」にあてたときに出て来る数字です。
今回取り上げるのは、「1:5の法則」と「5:25の法則」です。
一見すると、割合の数字がどちらも1:5になるため、「5:25の法則とは、1:5の法則の言い換えである」と見えてしまいますが、関係性はあるものの、この2つは少し意味合いが異なるものです。
それぞれについて解説していきます。
1:5の法則とは、簡単にいえば、「新規顧客を獲得するためにかかる費用は、既存の顧客に対して販売するためにかけなければならない費用の5倍である」という意味です。
つまり、1:5=既存の顧客に販売するためにかかる費用:新規顧客を得るために必要な費用 ということです。
この「顧客を獲得するためにかかる費用」は、「顧客獲得コスト」と呼ばれます。
これの求め方は、広告費÷その広告を見て獲得した顧客の件数 によって求められます。
まったく自社商品を買ったことのない人にアピールすることはなかなか大変な作業です。
まずは自社のことを知ってもらい、ほかの企業の商品とは異なるものであることをアピールし、時には新規購入者限定のキャンペーンを張るなどして興味を持ってもらわなければなりません。
対して、すでに自社商品を一度買ったことのある顧客は、多くの場合自社に対して好意的な視線を注いでいます。特に何度かリピートをしてくれている顧客ならばなおさらです。
このような顧客の場合、極端な話、メール1本で新しい商品の案内をしただけで購入に踏み切ってくれることもあります。
新規顧客に対して行われるアプローチは、利益率が低くなるという欠点があります。このため、多くの企業では、リピーターや既存顧客を非常に大事にします。
リピーターや既存顧客は自社商品への理解と愛着が深く、新商品も好意的に受け入れてくれるからです。
ただし、既存顧客に依存する企業体質は時に大きな問題をもたらします。
特にBtoBの企業の場合、1つの大きな既存顧客に依存していると、その取引先が倒産したり会社を畳んだり、また経営上の判断であなたの企業を切ると宣言したりした場合、あなたの企業の存続自体が危うくなる可能性すらあります。
このため、既存顧客を大切にすることはもちろん重要ですが、常に新規顧客を開発していく姿勢をもっていなければならないと指摘されています。
「5:25の法則」とは、「5パーセントの『顧客離れ』を防止すれば、利益が25パーセントも良くなる」というものです。
「1:5の法則」でも述べた通り、既存の顧客というのは非常にありがたいものです。
しかし顧客の在り方は常に流動的なものであるため、何かのタイミングで「もうここの商品はいいや」と見限っていく人も出てきます。
たしかに商品の特性上既存顧客を維持しにくいという分野もありますが、リピーターを獲得しやすい分野において「顧客が離れていく事態」は企業の根幹を揺るがしかねません。
既存の顧客を維持し続けられるということは、利益が下がることを防止するとともに、新商品などを手に取ってもらいやすい土壌であるといえます。
この「1:5の法則」「5:25の法則」には、明確な出所がないともいわれています。
しかしマーケティングの世界においては広く知れ渡っている数字であり、また信頼性のおける数字でもあります。
ブランディングをすることで既存の顧客の顧客離れを防止することができれば、新規の顧客を開発するときほどのコストをかけずに商品を売ることができますし、また利益の改善にも役立てることができます。
この意味でも、ブランディングは非常に重要な役割を持っているのです。
同じようなカテゴライズの商品のなかで、「この商品を買う」「この企業の打ち出しているものを買う」と、「指名」をして買ってもらえるようになれば、それはマーケティングにおける成功を意味します。
これの代表例としてよく取り上げられるのが、「サーモス」です。
サーモスは日本で生まれたブランドですが、世界最大級の販売量と生産量を誇るステンレス製魔法瓶の雄と言える存在です。
1995年にはまだシェアが低かったこのサーモス社と商品としてのサーモスが大きなブランドに成長するようになったきっかけは、2002年と2004年のことでした。
このときまで、魔法瓶というのは「温かい飲み物を入れるためのもの」でした。しかしサーモスはこのとき、「保冷専用の」「直接口をつけて飲むことができる」魔法瓶を開発しました。
これは、「スポーツのときに、いつでも冷たい飲み物を飲みたい」と考える子どもたちやスポーツ選手に大きく評価され、サーモス社(商品としてのサーモス)を指名買いする顧客が非常に増えました。
また、喉に関する薬類を打ち出している制約会社の「龍角散」は、「ブル戦略」をとることによって指名買いを促した企業とも言われています。
龍角散は年間の売り上げの実に4分の1を広告費用として使っていますが、この「広告」によって龍角散の名前を知ら閉め、指名買いを進めました。
また、その際には、薬臭い味わいを抑えたり、水がなくても飲めるものを出したり、薬剤師を通さずに買える薬に方向転換したりといった工夫も行われました。
この2つの会社の事例は、「指名買い」における代表的な例といえます。
指名買いを促すことで販売促進(以下「販促」)ができますし、場合によっては販促のコストを抑えることができるでしょう。
また、龍角散のように、「販促にコストはかけるが、それによって効果的なブランディングを行い、売り上げを増やす」という方法をとる道もあります。
いずれにせよ、似た商品があるなかで、直接的に「この会社のこの商品を」と指名されることは、企業において非常に大きな意味を持ちます。
これは単純に「該当商品が売れる」というだけではなく、その該当商品をつくっている技術者のモチベーションアップにも繋がりますし、自社のほかの商品を手に取ってもらうきっかけにもなるからです。
指名買いをしてもらえることのメリットは、とても大きいといえるでしょう。
「適切な社員を、適切な部署で働かせること」は、ブランディング戦略のなかでも注目されているものです。
どれほど優秀な商品であっても人がいなければ作ることはできませんし、人を育てることが企業の成長に役立ちます。
そしてその「人を育てること」には、「その人の希望や能力にあった場所に異動させること」が重要になってきます。
ただ、このような人材育成を考えることも非常に重要ではありますが、「すでに出来上がった、優秀な人材を連れて来ること」もまた、企業にとって大きな意味を持つことです。
その分かりやすい例が、「引き抜き」です。
「引き抜き」は非常に分かりやすい単語ではありますが、一応解説しておきましょう。
これは、「ある会社(ここではB社とする)に勤めている優秀な人材であるCを、自社(ここではA社とする)にスカウトして、B社からA社に移らせること」をいいます。
ちなみに似た言葉として「ヘッドハンティング」がありますが、こちらは一般的に「役職についている、B社の上層部の人間を引き抜くこと」を指します。
単純に「引き抜き」といった場合は、基本的には「上層部の人間ではない、一般社員を転職させること」を指すことが多いといえます。
この「引き抜き」は、引き抜く側に多くのメリットをもたらします。
まず、引き抜こうとしている人材はすでに高い能力を持っています。
人材を教育・指導していくことには教育コストがかかりますが、引き抜きの場合はそのコストをかける必要がありません。
時間的にも金銭的にも負担が少なく、即戦力としての活躍を見込むことができます。
引き抜きを行う場合は、B社よりも魅力的な条件(主に給与面)を提示するのが普通ですが、優秀な人材であれば、ペイした年収以上の利益を自社にもたらしてくれることでしょう。
「優秀な人材を引き抜こうとしたとき」に大切になってくるのが、「自社のブランディング」です。
たとえばCが、A社に対して何の魅力も感じていなかったり、A社がより良い条件を提示したとしてもそれを蹴るほどにB社に対して信頼と愛着を持っていたりした場合、CがA社の引き抜きに応じる可能性は極めて低くなるでしょう。反対に、「今はB社に勤めているが、A社も同じくらい魅力的だと思っている」とCが感じているのであれば、「B社よりも待遇を良くする」とすれば引き抜ける確率はとても高くなります。
「B社には勤めていたくない、本当はA社の方が魅力的だと思っている」という場合であるのなら、引き抜きはさらに容易になります。
またここでは主に「引き抜き」のことを取り上げていますが、新入社員として面接に臨む人材のレベルも、ブランディングが成功している企業とそうではない企業では違いがみられるでしょう。
自社のブランディングが成功していれば優秀な人材を引き抜いたり確保しやすくなったりしますし、質の良い新入社員を獲得しやすくなったりもします。
引き抜かれた(あるいは新しく入ってきた)社員は、さらに自社のブランディング育成の力となるでしょう。
これによって好循環が生まれることも期待できます。
私たちは、「ブランディング」というと、つい「顧客に対してアプローチするもの」を思い浮かべてしまいがちです。
しかしこのように、ブランディングは、「優秀な人材の引き抜き」にも関わって来る分野なのです。
自社や自社商品のブランディング化を進めていくということは、企業の利益や顧客満足度の上昇(ひいてはそこからの売り上げ増加)、高いレベルにある人材の引き抜きや新入社員雇用に繋がります。
しかしブランディングには、このような、「利益の上昇」「外部へのより良い働きかけ」以外にも重要な意味を持っています。
それが、「自社内部への働きかけ」です。そしてそのうちの一つとして、「従業員もモチベーションやモラールの向上」が挙げられます。
極端な話ではありますが、「作ってもまったく売れない商品の開発」に対して、真面目に取り組み、真摯に働きかけを行い、高いモチベーションを保って取り組んでいける従業員はそれほど多くはないと思われます。
「自分が作ったものが売れる」ということは、それだけで、その従業員のやる気をださせてくれるものでしょう。
そして、「売れるためのものを作ること」には「ブランディング」が大きく関わっているのです。
ただ、「従業員とブランディング」について考えるのであれば、「インナーブランディング」のことも取り上げなければなりません。
今までが「外部に対して働きかけていくブランディング」を単純に「ブランディング」としていましたが、この「ブランディング」という言葉は、本当は2つの意味を持つものです。
一つは「アウトブランディング」と呼ばれるもので、これは今まで使ってきた「ブランディング」と同じ意味を持つものです。
対して、ここで例外的に取り上げる「インナーブランディング」は、その名前の通り、「内側」に対して働きかける言葉をいいます。
この「インナーブランディング」は、簡単にいえば、「自社の商品や自社ブランドに対して好意的な意識を持ってもらえるように従業員に働きかけること」をいいます。
近年はSNSを使った従業員のふざけた行為によって炎上してしまった企業をよく見るようになりましたが、これの原因の一端として「インナーブランディングの欠如・不足」が挙げられます(ただし、どれだけ企業側が適切な働きかけ方をしても悪ふざけを行う従業員はいますし、もちろん一番悪いのは従業員本人です)。
インナーブランディングを適切に行うことで離職率を大きく減らすことができますし、上記で挙げたばかな行動をする従業員の数も減るでしょう。
インナーブランディングの手法として、
- 社員一人ひとりを「個人」として認識し、働きかけを行う
- アルバイトにもしっかりと社内研修を行い、一人ひとりに責任感と技術を持たせる
- 正確で正当な評価を行い、結果を出した社員にはしっかりとした報酬を与える
- 魅力的なマニュアルを作る。あるいは、それぞれの自主性を重んじることを目的として、あえてマニュアルは作らない
などが挙げられます。
インナーブランディングを考えることによるメリットは、「離職者を減らす」「高いモラールを持つ社員を育成する」「自主的に動ける人材を作る」「モチベーションのあるスタッフを育てる」ことにあります。
また、やる気がある社員が多い企業では新しい案や積極的な意見が出やすく、自社が成長していきやすいというメリットもあります・
業界内において、「この会社は信頼がおけるところだ」「ここの開発する商品ならば間違いない」と思ってもらえるブランディングを進めていった場合、「優良な取引先を確保できる」というメリットもあります。
周りから「あの会社は口ばかりで、大した仕事をしてくれない」「出す商品が、安っぽく粗悪品だ」と言われている会社と、「顧客満足度が非常に高い会社である」「従業員が気持ちよく働けている」と言われる会社があったとした場合、多くの企業は後者を選びます。
場合によってはいくつもの「取引先になりたい会社」が出て来る可能性もあります。
そのなかから、より優良な取引先を選ぶことができるわけです。
「ブランド拡張」とは、
“「企業が確立されたブランド・ネームを使って新たな市場に参入すること」
―引用:ケラー「戦略的ブランド・マネジメント」
を指す言葉です。
現在すでに獲得できているブランド・ネームを用いて新規参入していくわけですから、これは、「まったくだれも知らない会社」「まったく知名度のない会社」「きちんとブランディングを行っていない会社」への脅威となりえます。
新規参入するときには多くのコストがかかりますが、それでも、ネームバリューのある会社が新規参入を行う場合と、まったくネームバリューがない会社が新規参入していく場合では成功確率が大きく異なります。
特に、その「新規参入していく企業」のイメージが極めて良い場合、その企業は従来のブランドに対する信頼感を使って、上手に新しい分野の商品を売り出していくことができます。
これは、宣伝にかけるコストを大きく下げることができるものであり、また売り上げ自体を伸ばすための方法ともなり得ます。
さらにいえば、「新しい名前を生み出し、打ち出すことのリスク」も下げることができます。
「良い方向で、顧客に愛されるブランドである」ということは、新規参入を考える分野においても役立ってくれるのです。
場合によってはまったく関係性の見いだせない分野の新商品であっても、顧客によって好意的に受け止められることすらあります。
「これから販路を確保したい」「新しいものを打ち出したい」と考えている会社にとっては、このことをしっかり覚えたうえで計画を練らなければなりません。
最後に取り上げるのは、「顧客ロイヤリティ」」を向上させることができる」というものです。
「顧客ロイヤリティ」は、簡単にいえば、「ひとつの会社に対して、どの程度の信頼や愛着を持っているか(を示す指標)」となります。
ちなみに、「顧客ロイヤルティ」と書くこともありますが、ここでは「顧客ロイヤリティ」と表記していきます。
顧客ロイヤリティは、ブランディングがうまく行っていれば、そして打ち出している商品やサービスが顧客の期待度を裏切らないものであれば(欲を言うのであれば、「顧客の期待を良い意味で裏切るほど上質なものであれば」、高まります。
この「顧客ロイヤリティ」の向上によって購入頻度が上がるというデータがあります。購入頻度が高まることで、市場シェアが高まり、当然売り上げも増えます。
逆のスパイラルが働く場合、「顧客ロイヤリティ」が低いことで購入頻度が低く、市場シェアも増やすことができません。
市場シェアが高いブランドになるためには、「顧客ロイヤリティ」の高さ(=購入頻度の高さ)が不可欠になります。
ここまで、「ブランディングの持つメリット」について紹介してきました。
企業にとってデメリットの多い価格競争を避けられる
高単価商品でも売れやすい
後発の企業が新規参入してくるのを防ぐことができる
リピーターが増えることで新規開拓のコストを減らせる。もしくは、広告で効果が得られやすい
指名買いによって販促コストを減らせる
引き抜きや新入社員面接で優秀な人材をとりやすくなる
(インナーブラインドと合わせて考えることで)従業員のモチベーションやモラールを高めることができる
より良い取引先を確保できるようになる
新規に参入する世界であっても成功しやすい
顧客ロイヤリティがアップすることで売り上げを得られやすくなる
が、ブランディングの持つ大きなメリットです。
ブランディングは一朝一夕で完成するものではありません。
しかし根気よく続けていくことは、企業において将来的には重要な意味を持つといえるでしょう。