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助成金の「生産性要件」て何?わかりやすく解説します

行政が少子高齢化に対し、ようやく「本腰」で向き合おうとしています。

それまで我が国の労働スタイルは、「質より量」でした。
我が国が世界トップクラスの経済力を誇るのも、効率よく働いていたからではなく、世界トップクラスの人口という「量」に頼ったものでした。

しかし、少子高齢化が進み、「量から質」へのシフトチェンジを強いられています。

どの産業に於いても労働者不足が顕著です。
人材難だからこそ、一人一人の労働の質、「生産性」を高めることが求められており、行政としても生産性が高い事業所には労働関係助成金を出すなど本気で我が国の働き方を変えようとしています。

しかし労働関係助成金は少々制度が複雑です。
そこで、労働関係助成金とはどのようなものなのか、どのような区分けがあるのかなどをご説明します。

生産性要件とは?

行政から補助が出るのは、生産性を向上させた事業所に対しての助成です。
行政は様々な助成金を支給することで、民間の事業所に対して刺激を与えています。
「生産性要件」もその一つです。

生産性の向上は事業所のみならず、我が国の産業そのものを支える上で必要不可欠なものだからこそ、生産性を向上させた事業所には助成金を割り増ししてくれるのです。

生産性要件の設定をしている助成金の種類

生産性要件の設定をしている助成金は、7項目あります。

再就職支援関係 労働移動支援助成金
雇入れ関係 地域雇用開発助成金
地域雇用開発コース
企業支援関係 生涯現役企業支援助成金
雇用環境の整備関係 人材確保等支援助成金
65歳超雇用推進助成金
キャリアアップ助成金
仕事と家庭の両立支援関係 両立支援等助成金
人材開発関係 人材開発支援助成金
最低賃金引き上げ関係 業務改善助成金

これらの項目において、行政が用意している「生産性要件算定シート」に基づく計算を行い、生産性の伸び率が「生産性要件」を満たした時、助成の割増等が行われます。

助成金

生産性要件算定シートとは

「生産性要件算定シート」は行政が用意しているシートで、こちらに数字を記入し、計算することになります。

  • 人件費
  • 減価償却費
  • 動産・不動産賃借料
  • 租税公課
  • 営業利益

これら全てで「付加価値」とします。
付加価値で表した数字に雇用保険被保険者数を足します。
これが「生産性」です。
直近、そして3年前の数字を比較するのですが、その公式は以下になります。

(直近の生産性-3年前の生産性)÷3年前の生産性

この公式によって算出された数字が「生産性の伸び」になり、6%以上伸びている場合に「生産性要件」を満たしていることになります。

1%以上でも条件付きで満たせます

先の公式での数字が1%以上6%未満だとしても、金融期間から「事業性評価」を得ている場合、生産性予見を満たしていることになります。

「事業性評価」とは、都道府県労働局が助成金を申請する事業所の承諾を得た上で、市場での成長性、競争優位性、経営資源や強み当を金融機関に照会し、回答を参考にした上で判断します。

助成金

生産性要件算定シートの注意点

生産性要件算定シートには

  • 人件費
  • 減価償却費
  • 動産・不動産賃借料
  • 租税公課
  • 営業利益

という5つの項目があります。
この中で特に気を付けなければならないのは、人件費です。

人件費以外の項目に関してはどれもシンプルなのですが、人件費だけは対象となるものと対象とならないものがあります。
対象となるものだけを加算することになりますので覚えておきましょう。

人件費の対象となるもの

  • 従業員の給与、賞与、通勤費等諸手当
  • 法定福利費
  • アルバイトへの給与などの「雑給」
  • 研修費、教育訓練費
  • 製造原価報告書、完成工事原価項目書に含まれるこれらの項目も転記しても差し支えなし

人件費の対象とならないもの

  • 従業員への退職金
  • 役員の報酬、賞与、法定福利費、各種手当、退職慰労金
  • 出張旅費などの旅費交通費(通勤費を旅費交通費の中に含めている場合を含む)
  • 派遣労働者にかかわる派遣手数料に相当するもの(外注加工費等)
助成金

対象となるもの、対象にならないもので生産性要件を満たすかが大きく異なります。
基本的に、「含めると生産性の伸びが大きく異なるもの」は含まれない形となっています。
例えば従業員の退職金や役員報酬はある程度自社でコントロールすることができます。
そのため、これらの数字を上手く調整することで生産性要件を満たすことが可能になります。他にもこのような性質を持つ数字は対象外となっています。

 

生産性要件を満たすためには?

では具体的に、どういったことをすると生産性要件を満たすのでしょうか?

  • 利益が増えている
  • 雇用保険被雇用者数が減っている

利益が増えている

単純な理屈として、従業員数が変わっていないけど利益が増えているという状況であれば、従業員数一人当たりの利益が増えた、つまりは「効率が上がった」ことになりますので、生産性要件を満たす可能性は高まります。

もちろん利益を増やすことは簡単ではありませんが、会社としての目標の一つでもありますので、生産性要件云々ではなく、「目指すべきもの」なはずです。

雇用保険被雇用者数が減っている

雇用保険被雇用者数が減っている、つまり「従業員が減っている」ものの、利益が変わらない、あるいは利益が増えている場合にもまた、生産性が増えている可能性が高いです。

こちらも一つの目安ではありますし、従業員数を減らすことを目的とする企業はなかなかないとは思いますが、結果的に減ってしまっているものの利益を維持できている場合、生産性要件を満たしている可能性が高まります。

最後に

生産性要件は条件等を見ていると少々難しい助成金に思うことでしょう。
しかし、利益の増加や従業員の減少によって実は自社も条件を満たしているというところもあるかもしれません。
「うちは関係ない」という意識は捨てて一度、生産性要件算定シートの数字を入れて確認してみるとよいでしょう。



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