ブランディングの効果とメリット
2021/06/20(日)
サービスや商品を扱う企業は、今や「ブランド」「ブランド化」「ブランド戦略」とは無縁でいられません。
特に、「イメージ」が重要視されることの多いBtoCの分野においては、自社の売り上げを伸ばそうとするのであれば、ブランド戦略を考えることがほぼ必須となっています。
「たとえ宣伝をしなくても、あるいは『これは特別なものである』とブランド化させなくても、良いものを作れば売れる」ということはたしかにあり得る話ではありますが、その可能性は決して高くはありません。
ただ、「ブランド化」「ブランド戦略」といっても、それを正しく理解し、かつそれを実際の現場に生かしきることができている人はそれほど多くはありません。
正しい実践は、正しい知識によって行われます。
ここでは、「ブランド」にまつわる話のなかから、特に「ブランド戦略」について取り上げていきます。
目次
ブランディング、ブランド戦略を知るためには、まずは「ブランドの構想」という概念から理解しなければなりません。
ブランド戦略とはこれは、日本の経営学者である田中洋教授(中央大学大学院戦略経営研究科)の書籍に詳しく取り上げられています。
田中洋教授によれば、ブランドを作り上げる際には、その根源となる場所に「構想」があるということです。
この構想は、英語で記すならば、我々にとって比較的なじみやすい“idea”と”inspiration”となります。
ブランドの構想とは、
“「ブランドを構築しようと考える者や企業が、最初、直観的にあるいは熟慮の末に浮かび上がった事業・商品に関する、一定の構造をもった思念」”
-引用:ブランド戦略論|田中洋
としています。
ブランド戦略は多くの場合、複雑で、そしてある程度理性的・理知的な視点を持ちます。
イメージなどの感情に訴えかけるものであってすら、それは「感情に訴えかけるという戦略」「感情に訴えかけるという理性」を持って行われるものです。
しかし、ブランドの構想の一番初めの段階では「がちがちに決め、完璧に組み立て、100年後のことまでを考えて行わなければならない」というものではありません。
最初の段階では単純な「気持ち」「思い」「仮説」であってもあまり問題はないのです。
それが「本当に実現可能なものか」「どのようにして磨き上げていくか」とセットにすることで意味を持っていくものだからです。
このため、最初の「ブランドの構想」は、非常に自由です。
人それぞれどのタイミングで、どのかたちで、最初のブランドの構想が出来上がるかがまったく違ってくるのです。
ニュースを見てひらめく人もいれば、自分が使っていて不便に思う点から新しい商品の発想が出て来る人もいるでしょう。
場合によっては、何のとっかかりもないのに、急に「このような商品をつくったら面白いのではないか」と思いつくかもしれません。
このように、ブランド化・ブランド戦略・ブランディングのもっとも基礎となるところは、かなり自由なものです。
しかしながら、「ブランドの『構想』」とあるように、単なる思い付きのアイデアとは異なります。
誰に対して何をどのように加工し、どのようなベネフィットを届けるか、という構造を持ちます。
たとえば、「おいしく飲むことができるワインをつくろう」と思うだけでは不十分です。
「日本土着の品種を使って、無農薬農法に近いかたちで日本のワインをつくろう。
赤ワインだが軽くて甘いテイストを基本にして、女性でも飲みやすいワインにしよう」などのような発想を行わなければならないのです。
これができていない状況で、「アイデア」だけで走り出してしまうと、ブランディングが成功する可能性は低下してしまうでしょう。
なかには、非常に緻密なブランドの構想を組み立てる人もいます。
さて、比較的自由度が高い「ブランドの構想」ですが、これは同時に、「これから組み立てられていくブランド構築の原点」にもなるものです。
そのため、自由なアイデアの後は、ある程度カテゴライズされた理性的な視線が必要になります。
そのときに利用したい概念が、「ブランドの構想を構成する4つの要素」です。
これは、
- 事業カテゴリー
- 事業の意味(と意義)
- 商品のスペック
- 顧客に対して行うアプローチ
の4つです。一つずつ見ていきましょう。
事業の根幹となるところです。
「どういった事業を行うのか」「その事業で参戦するのは、どのような市場か」を考えるものです。
「その事業がどのような意味を持つものか」の要素です。
このとき重要なのは、「その事業の持つ意味」は、自社に対するものを言うわけではないことです。
「その事業が自社に対してどのような利益をもたらすか」ではなく、「その事業が、社会的にどのような意味(と意義)」を持つのか」を考える項目です。
これは比較的分かりやすいかと思われます。
提供しようとしている商品がどのようなスペックを持っているか(あるいはどのような性能を持つべきか)を考える項目です。
この4項目のなかで唯一明確な形状を持つものです。
ブランド戦略においては、「どの層に」「どんな風に」アプローチしていくかが非常に重要になってきます。
これはそれを問う項目です。
ブランドの構想はこの4要素で組み立てられています。
これが明確になっていないと、どこかブレたような展開になってしまう可能性があります。
ブランドの構想はブランド化の最序盤に行われるものですが、ここで出されたものは後々にまで影響を及ぼすことがあります。
そのため、最初の段階でより優れたブランドの構想を作り上げることができれば、それがベターです。
優れたブランドの構想を生み出すためには、以下の5つが必要です。
当然のことですが、対象となる商品やサービスに対して造詣が深いほど、優れた商品やサービスを生み出しやすくなります。
知識や造詣、あるいは経験が深いのであれば、単純に「持っているAという知識」を1つ使うだけではなく、「すでに持っているAという知識とBという知識を掛け合わせることで、Cを生み出せる」などのメリットもあります。
書品やサービスには、従来と似たかたちをとるものも多くあります。
もちろんこれも決して悪いことではありませんが、「新しいものを作りたい」と考える人も多いことでしょう。
この場合は、想像力が豊かな人ほど新しい視点で物事をとらえることができるようになるため、非常に有利です。
商品開発やサービスの開発は、最初の1回目で良い結果が出ることもあります。
しかし幾度となくトライアル&エラーをし続けることで最適解に結びつくものもあります。
挑戦的で意欲的な個性を持っていれば、この「トライアル&エラー」の段階も耐えることができるでしょう。
まったく畑違いの分野だからこそ成功した……という事例がないわけではありませんが、基本的には、「自分自身が、Aのジャンルの商品に持っている不満を解決したい」「自分の興味をつきつめていったら、商品化したいと思った」などのように、「自分の興味のある分野」の方が成功はしやすくなります。
「環境づくり」も非常に重要です。
この「環境づくり」というのは、工場やラボのことだけを指しているのではありません。
他者とのネットワークをも含む単語です。
人と話し合うことで疑問点を解消していくことができますし、新しいひらめきを得ることもできます。
ブランドの構想においては、たしかに明確な「正解」はありません。
しかし上記を意識することで、より良いブランドの構想ができるようになるはずです。
ブランディング・ブランド戦略を進めていくにあたり、構想だけでは実現できません。
それを具体的なプランに落とし、社内のリソースを効率的に使って、より効果的に実現していくプロセスが必要です。
そして、そのために必要なのが、現在の自社や社会の環境分析と、その分析に基づく具体的な戦略です。
まずは「環境分析」から見ていきましょう。
「環境分析」とは、経営戦略において重要なパートをしめています。
分析のフレームとしては、「PEST分析」「3C分析」「SWOT分析」などが代表的です。
聞きなれない単語があるかもしれませんので、それぞれの単語について分かりやすく解説していきます。
フィリップ・コトラーが提唱した概念です。
PEST分析とは、「自社の商品や自社に対して、世界の流れがどのような影響を与えているか」を分析するものです。
これは、
の4要素に分けられています。
英語でのそれぞれの頭文字(“Politics”“Economy”“Society”“Technology”をとってこう呼ばれています。
政治の仕方や方向性が変わった場合、市場の在り方まで大きく変わることがあります。
また、経済が成長したり停滞したりすれば、自社製品の売り上げにも関わってきます。
購買者のライフスタイルが変わるなどの社会的な動きがあれば、今まで売れていたものが売れなくなったり、逆に今までそれほど売り上げがよくなかったものが売れたりすることもあるでしょう。
技術の進展は、それをどのように商品に生かしていくかが問題となります。
商品やサービスの展開は、このような「商品のスペック以外のところからの影響」とも無縁ではいられません。
PEST分析では、その「商品のスペック以外のところからの影響」を分析していく試みであり、非常に重要なものです。
「市場」についても見ていきましょう。
ここで言う「市場」とは、自社商品や自社サービスが存在する市場がどのようなものであるのか、どんな特徴を持っているのかを分析することを指します。
特に、その市場が拡大傾向にあるのか縮小傾向にあるのかを見ます。
3C分析は、「Customer(市場・顧客)」、「Competitor(競合)」、「Company(自社)」の頭文字から名づけられています。
後述の「SWOT分析」は主観的な分析にならざるを得ませんが、「3C分析」は、客観的に分析していくものになります。
「市場・顧客」分析は、マーケットの動向、ニーズの変化、ブーム、顧客側のライフスタイルや消費に対する考え方、今後予想される展開などを見ていくものです。
「競合」分析は分かりやすいでしょう。
競合他社の歴史や売り上げ、今後の戦略の見通しを見るものです。
「自社分析」の他社バージョンだと思えばより理解がしやすいと思われます。
「自社」分析とはその名前の通り、自社の歴史や資源、売り上げ、業界のなかでの地位、営業や技術、生産の力を、競合や市場の中でどのような位置づけか、相対的に見るものです。
SWOT分析についても見ていきましょう。
これは、
の頭文字をとったものです。
比較的分かりやすい概念なので、簡単に解説していきます。
- 強み・・・自社の掲げる目標を達成するために役立つ、自社内の性質
- 弱み・・・「強み」とは逆に、目標を達成するための障害となる自社内の性質
- 機会・・・新しく参入してくるサービスや、顧客ニーズの高まりなど
- 脅威・・・目標達成を妨げる外部の要因
たとえば、素材にこだわっており、リピーターが非常に多く、自社所有の土地と建物で駅から徒歩1時間の距離で経営しているレストランがあったとしましょう。
観光客が近頃増えてきた場所であり、新しいレストランも建つようになったため、駅前などにキッチンカーでの進出を考えているものとします。
この場合、「強み」は「土地を所有していること」「リピーターが多いこと」となります。
「弱み」は駅から1時間と非常に遠いこと、場合によってはリピーターが多すぎて一見さんが入りにくい雰囲気になっていることが挙げられるでしょう。
「機会」に関しては、近頃増えてきた観光客が来やすくなったり、キッチンカーを使うことで新たなニーズを発見できたりすることが挙げられます。
「脅威」としては、同業他社の進出が考えられます。
SWOTにおいては、4つのボックスを用います。
「内部環境」「外部環境」「プラス要素」「マイナス要素」を組み合わせて分析していきます。
内部的な環境である「強み」「弱み」を、外部的な要因である「機会」「脅威」とあわせて考えていくことによって、より自社や自社商品・サービスを冷静に分析していくことが可能になるわけです。
SWOT分析や3C分析は、お互いに相反するものではありません。
自社の商品やサービスを分析し、その特徴を把握していくことによって、自社商品やサービスの向上(売り上げ・技術面など)を図ろうとする試みなのです。
自社が有利に戦略を進められる場所で戦うために必要な分析が、「STP分析」と呼ばれます。
Sはセグメント化、Tはターゲティング、Pはポジショニングを指します。
分析を行っていくためには、「顧客の情報」を分けていくことも必要です。
そこで出た考え方が、「セグメント“segment”化」です。
セグメントとは、「1つのものを分割した部分、断片」という意味です。
通信分野においては、規模の小さいネットワークで大きなネットワークを管理していく意味で使われますが、マーケティング分野においては「顧客を分けること」という意味で使われます。
たとえば、その商品やサービスを好む顧客を、年齢や性別、職業などでグループ分けする方法をいいます。
「ターゲティング“Targeting”」とは、「セグメント化・セグメント」を利用したものです。
セグメントによって導きされた、自社商品を好む人や訴求したい人を選定する作業です。
なお、「ターゲッティング」と記されることもあります。
「多くの人に愛される商品やサービス」はたしかに魅力的なものではあります。
ただ、宣伝を打ち出すとき、「自社の商品をより必要としている人」以外に訴求するものを作っても、大きな効果は得られません。
宣伝をするときは、自社の商品やサービスをより身近に感じている人向けのものを作らなければなりません。
その際に、「セグメント」「ターゲティング」は非常に重要な役目を持つことになります。
「ポニショニング“positioning”」は、運動の分野などで使われるときは「体位」「位置取り」という意味を持ちます。
マーケティングにおいては、「ターゲティングした顧客に対して、自社の商品やサービスがいかに魅力的であるかを知らせるための行動」をいいます。
「車」「レトルト食品」「鞄」など、私たちが日ごろ接する物品は、どこか1つの企業だけが打ち出しているものではありません。
1つの物品に対して、それを提供する無数の企業がありますし、商品の数を考えればその選択肢はさらに膨大になります。
そんななかで、「ここの商品がいい」「この企業が打ち出す商品を手に入れたい」と思ってもらうためには、自社の商品やサービスが、「(ほかの商品よりも)魅力的なものだ」と思ってもらわなければなりません。
このための行動として、「ポジショニング」があります。
ポジショニングを考えるうえで重要になって来るのが、「競争優位・差別化ポイントの明確化」です。
人は、よほどその企業に愛着がある(たとえば自分の配偶者がその企業に勤めているなど)場合などの例を除けば、「同じカテゴリー(例:カバンや靴、あるいはパソコンなど)のなかで、一番自分にとって良いもの」を選ぼうとするのが普通です。
機械を選ぶ場合は同じ価格帯であればそのなかからよりスペックの高いものを選ぼうとしますし、食べ物の場合は同じ価格帯であればそのなかからより自分の好みに合ったものを選ぼうとします。
このため、「自社の商品が、競争相手となる他社の商品より優れている点」もしくは「自社の商品が、競争相手となる他社とは異なる点」を積極的にアピールしていかなければなりません。
たとえばラーメンを例にとると、同じ価格帯のなかでも、「濃厚でボリューム感があるのがウリ」としているところもあれば、「さっぱりとしていて女性でも食べやすいのが魅力」としているところもあるでしょう。
自社商品や自社サービスの特性を踏まえたうえで、それを顧客(や顧客となりうる層)に対して効率的よくアピールしていく姿勢が求められます。
ここまで、「自社製品とサービスをどのように分析するか」「自社ブランド以外から受ける影響をどのようにして分析するか」について見てきました。
ここからは、より実践的な戦略について見ていきます。
これは大きく分けて、下記の5つに分けられます。
- 組織・人事戦略
- 財務・投資戦略
- 生産戦略
- 販売(マーケティング)戦略
- 情報戦略
ひとつずつ取り上げていきます。
簡単にいえば、「どこにどのような人材を配置し、どのように対応させていくか」「どのように人を育てていくか」を考えることをいいます。
“「事業は人なり」―”
引用:松下幸之助.comとは、希代の実業家であった松下幸之助氏の言葉ですが、人材を育てたり、適材適所に置いたりすることは、企業において非常に重要なことです。
社員それぞれが自分の力を最大限発揮できる場所を選び、またそれを育てていかなければなりません。
財務戦略とは、自社を支えるための財務基盤を整えたり、また強化して行ったりすることをいいます。
財務はすべての基本でもあり、ほかの戦略を行うための力ともなりうるものです。
投資も選択肢に入れて行うべきことであり、外部の力を借りて行われることもあるものです。
生産戦略という言葉にはいくつかの解釈がありますが、マーケティングの分野においては、「高い価値を持つものを生み出すために材料などを投入して行うことを『生産』とするが、その『生産』をより総合的に、より長期的に行っていくための計画」と解釈されます。
ごく簡単にいえば、「付加価値の高い商品を長期的に効率的に作り出していくために、品質や原価などの観点からいろいろ考えて、よりよい方法を模索していく」ということになります。
顧客のニーズを正確にとらえ、それに対して効果的にアプローチしていく方法を「販売(マーケティング)戦略」といえます。
伝え方が下手だった場合、どれほど優れた商品でも消費者の手元に届きません。
人事戦略や販売(マーケティング)戦略と一緒に考え、調和させて行っていくものです。
これは、「自社が情報(IT)をどのように扱っていくか」を考える計画のことを言います。
ただこれは、「一度練ってしまえば終わり」というものではありません。
技術は日進月歩ですから、適宜見直しを行っていく必要があります。
当然のことですが、商品やサービスには対象となる「顧客」がいます。
その顧客の満足度を上げることは、リピート購入を促し、売り上げの上昇に直結します。
環境分析にもとづいて商品開発を行い、それを販売したあとに、リピート購入を促す顧客ロイヤリティの獲得が重要です。
「顧客ロイヤリティ(顧客ロイヤルティとも)」とは、「顧客が、その企業や商品、あるいはサービスに対して持っている信頼感や親しみやすさ」を示す言葉です。
顧客ロイヤリティが高ければ消費者はその商品やサービスを積極的に購入しようとします。
対して顧客ロイヤリティが低ければ、人はそれを手にとろうとは思いません。
顧客ロイヤリティを獲得するためには、「顧客が商品を品定めするときに見出す価値」を考えなければなりません。
これは、
- 基本価値
- 期待価値
- 願望価値
- 未知価値
の4段階に分けられます。
1は「不可欠な要素」、2は「消費者が当然に期待する要素」、3は「提供されなくても仕方ないと思っており期待はしていないが、提供されれば好意的に受け止められる要素」、4は「顧客側が想像もしていなかったレベルのものが提供される要素」を言います。
1段階目は、クリアをしていなければそもそも「商品」としての価値がありません。
また2は、ある意味では「叶えられて当然」と思われているものであり、これをクリアできないと失望されるでしょう。
3はその企業や商品を好意的に見るためのきっかけとなりますし、4がクリアできていれば顧客はその商品だけでなく企業のファンになってくれる可能性をも持つものです。
この4段階は、特に新規顧客を獲得したい企業にとって重要なものです。
ここで3や4をクリアしていると顧客が感じた場合は、リピーターになってくれる可能性も高くなるでしょう。
「顧客ロイヤリティの向上」とされることもあります。
顧客の満足感を高め、信頼関係を築いていくために行うべきことです。
これにはさまざまな方法があります。
インターネット社会となった今ですからSNSを通じて顧客の言葉を拾い上げるやり方もありますし(いわゆる「炎上」には注意が必要です)、顧客をリスト化してそれぞれの顧客に合わせたプロモーションを行っていくことも有効です。
「トラブルがあったときになかなか対応してくれない」という不満は顧客ロイヤリティを大きく減退させてしまいますから、「いつでもつながる、すぐに対応してくれる」というカスタマーセンターを作ることも有意義です。
ただ、顧客ロイヤリティの育成には当然お金と時間がかかります。
このため、顧客ロイヤリティの育成戦略を練る場合は、費用対効果や、その方法が本当に顧客ロイヤリティの育成に役立つのかを考えることが重要です。
「信頼感」は非常に重要です。
「安ければどこでもいい」「価格が最優先」という人もいないわけではありませんが、多くの消費者は、自分が手に取ろうとしているものが信頼のおける企業のものであるかを重要視します。
このため、「信頼のおける企業」であり続けられるようにしなければなりません。
顧客ロイヤリティは、細分化する場合、「心理ロイヤリティ」と「行動ロイヤリティ」があります。
前者は、「その企業や商品に対して、どれくらいの信頼や愛情を抱いているか」を意味する言葉であり、「行動ロイヤリティ」は「その商品を継続的に買ったり、好意的なコメントを寄せたり、人に勧めたりすること」をいいます。
心理ロイヤリティが高ければ後者の行動ロイヤリティが高くなり、売上があがるという仕組みです。
信頼性の向上は、心理ロイヤリティを高めることに繋がり、またそれが行動ロイヤリティを獲得することに繋がるのです。
「ブランド戦略」を考えるときには、多方面からの分析が必要となります。
そしてこの分析を可能にするのは、
- 自社や自社商品、自社サービスを理性的に冷静に判断する視点
- 競合他社の強みや弱み、動向を見るだけの眼力
- 政治や経済全体の動きを把握する力
- 顧客に対してのアプローチや顧客ロイヤリティを高めるための方法を、的確に選び取れるだけの能力
です。
もちろん、自社の商品やサービスのスペックをアップさせていく技術力も必要ですが、それを滞りなく(理想をいえばより良いかたちで)消費者に届けていかなければ、利益を出すことは少し難しくなります。
ブランド戦略とは、自社の商品を顧客に届け、リピーターになってもらうために練るべきものだといえます。
これは、自社の利益に繋がるだけでなく、消費者がより良いもの・より良いサービスを手に取ることも可能にします。
商品の開発や届け方が、理論立ち系統立って行われるようになった今、企業はブランド戦略とは無縁ではいられないでしょう。