中日ドラゴンズ英智と中小企業経営
2014/07/23(水)
「IT活用が重要」と言われる時代、中小企業や小規模事業者がIT導入の際に利用できる補助金制度が「IT導入補助金(サービス等生産性向上IT導入支援事業)」です。
IT活用に興味があるけれど、そこまで多くの予算を避けない。こうした悩みを抱えている中小企業や小規模事業者は多いでしょう。IT導入補助金なら最大で450万円の補助を受けられるので、あなたが望むIT活用が実現するかもしれません。
当記事ではそんなIT導入補助金についてわかりやすく解説します。
目次
中小企業基盤整備機構が提供するIT導入補助金には4つのタイプがあります。通常枠とされるA類型とB類型、特別枠(低感染リスク型ビジネス枠)とされるC類型とD類型です。以下の表は補助対象について、各タイプを比較したものです。
通常枠 | 低感染リスク型ビジネス枠 | |||||
種類 | A類型 | B類型 | C類型-1 | C類型-2 | D類型 | |
補助金申請額 | 30万~150万円未満 | 150万~450万円以下 | 30万~300万円未満 | 300万~450万円以下 | 30万~150万円以下 | |
補助率 | 1/2以内 | 2/3以内 | ||||
プロセス数※1 | 1以上 | 4以上 | 2以上 | |||
ツール要件(目的) | 類型ごとのプロセス要件を満たすものであり、労働生産性の向上に資するITツールであること。(当該要件はC・D類型においても前提条件) | 複数のプロセス間で情報連携し複数プロセスの非対面化や業務の更なる効率化を可能とするもの | テレワーク環境の整備に資するクラウド環境に対応し、複数プロセスの非対面化を可能とするもの | |||
賃上げ目標 | 加点 | 必須 | 加点 | 必須 | 加点 | |
補助対象 | ソフトウェア費 導入関連費等 |
〇 | 〇 | |||
ハードウェア レンタル費用 |
× | 〇 |
C類型は2つの補助枠が用意されているので、合計で5つの補助枠があります。中小企業や小規模事業者は、いずれか1つの補助枠に申請し、事業が採択されると該当する補助金額を受け取ることができます。
IT導入補助金の通常枠と特別枠の違いはまず「対象となる事業」です。IT導入補助金公式ページでは、次のように説明されています。
<通常枠>
中小企業・小規模事業者等のみなさまが自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を補助することで、みなさまの業務効率化・売上アップをサポートするものです。自社の置かれた環境から強み・弱みを認識、分析し、把握した経営課題や需要に合ったITツールを導入することで、業務効率化・売上アップといった経営力の向上・強化を図っていただくことを目的としています。
<特別枠>
新型コロナウイルス感染症の流⾏が継続している中で、ポストコロナの状況に対応したビジネスモデルへの転換に向けて、労働生産性の向上とともに感染リスクに繋がる業務上での対人接触の機会を低減するような業務形態の非対面化に取り組む中⼩企業・小規模事業者等に対して、通常枠(A・B類型)よりも補助率を引き上げて優先的に支援するものです。
通常枠はあらゆる業種・組織に適用されるIT導入補助金なので、非対面ビジネスを推進できない企業でもIT活用時の経費が一部補助されます。大切なのは以下の3点です。
- 明確な課題意識を持つこと
- 課題を解決するITツールを適切に選ぶこと
- 導入後に期待する効果をしっかりと明示すること
特別枠は非対面ビジネスを推進する企業限定のIT導入補助金なので、申請できる業種が限られます。非対面ビジネスに興味はあったが予算を避けなかったという企業にとっては、ハードウェアレンタル費用まで補助対象に含まれるのでおすすめです。
「非対面ビジネスを推進する企業」といっても、フルリモートに移行する必要はありません。導入するITツールが非対面ビジネスを推進するものであること、クラウド対応であることなどの条件を満たせば、非対面ビジネスを一部推進する企業でも補助対象になります。
IT導入補助金の補助対象者は中小企業と小規模事業者です。自社が補助対象者となるかどうか、今一度確認しておきましょう。
まず、大まかな申請の流れを図でご確認ください。
一点注目していただきたいのは、図の下部に記されている「事業実施効果報告(代理申請)」の部分です。これは、IT導入補助金を使って導入したITツールのベンダーが、補助対象企業の事業実施効果報告を代理で行えることを意味しています。
ベンダーによっては単にITツールを導入するだけでなく、IT導入補助金の申請や交付申請や報告もサポートしてくれるので、補助金制度に慣れていない場合はそうしたベンダーを探すのも1つの手段だということを覚えておきましょう。
では、IT導入補助金制度の具体的な流れをご紹介します。通常枠と特別枠、どちらも同じ流れでスケジュールが進みます。
- IT導入補助金制度への理解を深める
申請タイプによって事業目的や条件が異なるので、それぞれの公募要領に目を通して自社が申請すべきIT導入補助金を選択しましょう。
通常枠公募要領
特別枠公募要領- IT導入支援事業者およびITツールの選定
業種別 お悩み解決ITツール機能や、IT導入支援事業者・ITツール検索を使いながら導入するITツールを選びましょう。- gBizIDプライムのアカウント取得
行政サービスのデジタル化を推進するgBizIDのプライムアカウントを取得します。詳しくは公式ページをご覧ください。- SECURITY ACTIONを宣言する
中小企業自らが情報セキュリティ対策に取り組むことを自己宣言するSECURITY ACTIONの宣言が必要です。詳しくは公式ページをご覧ください。- IT導入補助金の交付申請をする
交付申請の手引きを確認しながら、必要な書類を揃えてIT導入補助金の交付申請を行いましょう。- ITツールの発注、契約、支払い
IT導入補助金事務局より交付決定を受けた後に、ITツールの発注、契約、支払いを行います。この時点で補助金は交付されず、自己負担なので注意してください。
また、交付決定前にITツールを発注、契約、支払いしてしまうと交付を受けられなくなります。- 事業実績報告の実施
補助対象となる事業が完了した後に、実際にITツールの発注、契約、支払いを行ったことがわかる証憑を提出します。
詳しくは事業実施・実績報告の手引きでご確認ください。- 補助金交付手続き
事業実績報告が完了すると補助金額が確定されます。gBizIDプライムアカウントを使って申請マイページで補助金額を確認できます。- 事業実施効果報告
定められた期間内に補助対象企業が申請マイページから必要な情報を入力するか、IT導入支援事業者がIT事業者ポータルから代理申請を行います。
以上がIT導入補助金制度の詳しい流れです。より詳しい情報は公募要領などをご確認ください。
日本は中小企業・小規模事業者大国です。そして、日本のIT活用は世界的に見て遅れをとっていると常々言われています。
もしも全体の99.7%を占める中小企業・小規模事業者のIT活用が促進したら、と想像してみてください。日本は経済大国として、かつての輝きを取り戻せるはずです。
とはいえ、ひとまずは国のことより組織のこと。足元に目を向けてみてもIT活用は必要な経営課題なので、IT導入補助金を利用してIT活用を促進していきましょう。