メールマーケティングとは?手法やおすすめツールをご紹介
2021/09/05(日)
中小企業に最も大切な「売れる商品やサービス」を作るためには、「マーケットイン」もしくは「プロダクトアウト」という異なる切り口からの企画方法があります。どちらも見聞きした覚えのある言葉でしょうし、意味を知っている方も多いでしょう。
しかしマーケットインとプロダクトアウトの意味を正しく理解できていない場合や、正しいアプローチの方法がわからない場合も多々あります。そこで今回はマーケットイン・プロダクトアウトの違いやメリットについてご紹介します。
目次
それでは早速、マーケットインとプロダクトアウトについて1つずつ解説します。
顧客が求めているもの、いわゆる「ニーズ」を調査した上で開発する商品やサービスを決めていくのがマーケットインの考え方です。市場調査やアンケート調査などを実施して事前にニーズを把握し、顧客が求める輪郭に沿って製品やサービスの開発を進めていきます。
マーケットインは大量消費時代において競合他社と差別化を図るために有効と考えられていますが、一方で「大ヒット商品が生まれにくい」という難点も持ち合わせています。これは顧客が抱えているニーズから革新的アイディアを生み出すことが難しいためです。
ただし、売上予測が立てやすかったり顧客ニーズとのズレを極力軽減できるため「ビジネスをコントロールしやすい」というメリットがあります。
プロダクトアウトは簡単に言えば「これが売れるぞ!」と企業がアイディアをそのまま形にする商品やサービスの開発方法です。事前調査を行わないためマーケットインと比べると多少のギャンブル要素があります。つまり「当たるか当たらないか」の二極化しがちな開発手法なのです。
ただし、爆発的なヒットを生み出すのは大抵がプロダクトアウトで作った商品やサービスであり、現代ビジネスにおける開発方法はプロダクトアウトに流れている傾向にあります。その代表的な例が過去の携帯端末ビジネス業界に存在します。それは、マーケットインの概念で市場を独占していた「BlackBerry」に対して、プロダクトアウトで後に市場を席巻する「iPhone」の関係性です。
1999年1月、BlackBerryは携帯端末にQWERTY配列のキーボードを実装した商品として発売されてビジネスマンの心を鷲掴みにしました。これは、ビジネスマンは普段からパソコンに使い慣れているため、QWERTY配列のキーボードを装備することでニーズが満たされるのではないかというコンセプトに従っています。
一方、iPhoneはAppleの我が道を行く精神から生まれた代表的な商品です。2007年1月にスティーブ・ジョブズがiPhone発表のための会見をエクササイズ中に観ていたマイク・ラザリディス(BlackBerry創業者)は驚愕したそうです。
マーケットインを中心に商品を開発してきたBlackBerryからすれば、プロダクトアウトで開発されたiPhoneはかなりの異端児に映ったことでしょう。しかし結果は明白、BlackBerryは数年後にiPhoneの影に隠れる存在になりました。
出典:GIZMODE「BlackBerryの元CEOは、ジョブズがiPhoneを出してきたとき愕然とした」
前述の通りマーケットインは事前調査を行うことで顧客ニーズを把握しながら商品やサービスを開発できるため、売上予測が立てやすく顧客ニーズとのズレを軽減できるメリットがあります。従ってリスクを抑えた短期開発が可能であり、現実主義的な開発手法と言えるでしょう。
一方、プロダクトアウトは企業が持つ知識や技術、ノウハウを注ぎ込んだ商品やサービスを開発できるのが大きな強みです。もともとはパソコンの製造販売を行っていたAppleがその技術を注ぎ込んでiPhoneを開発したのが良い例です。イノベーションが生まれるのは決まってプロダクトアウトで商品やサービスを開発した時です。
プロダクトアウトには常に大きなリスクが付きまといます。iPhoneのように爆発的にヒットするケースもあれば、全く当たらないケースもあります。
Apple社が2006年にリリースしたiPod Hi-Fiという商品は最高品質の音を提供するスピーカーでした。スティーブ・ジョブズ自身もお気に入りの商品でしたが、価格が高すぎると市場から拒絶され販売数が伸びないまま絶版になっています。
ただしその11年後、iPod Hi-FiはSiriを搭載したスピーカーであるHomePodに一部の技術が使われています。プロダクトアウト中心で商品やサービスを開発する企業には、1度や2度の失敗でも挫けずにそこで得られた技術や教訓を新たに活用するという精神力が必要になるでしょう。
昨今さまざまな業界で起こっている「デジタルディスラプション(デジタル技術を用いた破壊的なイノベーション)」はプロダクトアウトによってもたらされるケースが大半です。だからといってプロダクトアウトが常に正解というわけではなく、マーケットインが時代遅れというわけでもありません。
中小企業に最も大切なのは「二極で考えないこと」です。マーケットインかプロダクトアウトの2つの選択肢に絞るのではなく、これから開発しよう考えている商品やサービスの特性に応じてマーケットインとプロダクトアウトのバランスを柔軟に考えるのです。
たとえばプロダクアウト気味で開発した商品やサービスも、リリース後の反響を伺いながら適宜改善を加えていくというやり方があります。これはクラウドサービスでよく見られる手法です。物理的な商品を提供する企業でも細かいマイナーチェンジを加えていくことでプロダクトアウトから継続的なマーケットインへと移行することが可能です。
今後商品開発を検討している方は、マーケットインとプロダクトアウトの考え方を正しく理解し、自社にマッチした開発方法を選択してください。